46人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
そないなしょうもないことをしてる暇があれば、先代の味に近づくよう研究しろ。昔あいつは……!
「はぁ……しんど」
岩見のお叱りは3時間にも及んだ。ようやく解放された惣太は、疲れて店の土間に座り込む。細長く息を吐き出し、かぶりを振った。
――まあええか。いつもみたいに聞き流しとこ。
惣太はポケットに手を突っ込んで作業場に戻ろうとし、左指に紙の感触を覚えた。
「そうやった」
ウキウキしながら折りたたまれた紙を開いた彼は、一秒後に笑顔のまま硬直した。
――Mauvais(粗悪)
最初のコメントを投稿しよう!