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柳田、怒られる
「本当に、すみません‼︎」
きちんと服を着た柳田が床に額がつくか⁉︎というほどの綺麗な土下座を颯汰にする。
「土下座なんていいですよ!頭、上げてください」
颯汰が柳田の体を起こそうとするが、柳田の馬鹿力でびくともしない。
「記憶は…あります…。どんな事を原先生にしたか…。俺、どうかしてたんです‼︎」
柳田の額は、いよいよ床につく。
「俺、アルコール弱いのにワインをがぶ飲みして、原先生に絡んで…その、キスしたり…ち、ち、乳首をつまんだり…。寝入っている原先生をベットに連れ込んだり…。俺、寝る時パン1なので、いつもの癖でそのまま原先生抱きしめながら寝てしまったとか……。あと……」
土下座をしたまま、昨晩の悪魔のような出来事を、柳田が噛まずにすらすらと話し出した。
!!!!
俺も思い出すから、言わなくていい!!!
「あ“ーーーー!!わかりましたって!もう言わないでください!俺が1番よく覚えてます!とりあえず頭上げてください!あげないと、許しませんよ!」
そう言いながら、颯汰が柳田の肩を押し上げると、
「許して…くれるんですか?」
半泣きの柳田がやっと顔を上げる。
泣くか?
泣くなら、初めからしなきゃいいのに。
ま、酔ってたから仕方ないのは仕方ないけどさ…。
「もう二度とあんな事しないなら許しますけど…。柳田先生、飲みの時は気をつけてくださいよ」
颯汰はため息をつきつつ、土下座をしたままの柳田に手を差し出した。
「う"っ……、原ぜんぜーーー。やざじーーー」
顔をぐしゃっと歪めて、本格的に柳田は泣きそうになる。
泣く!?
泣くかー!?
「泣かない!」
颯汰が喝を入れると、
「はい!」
流れ出しそうになっていた柳田の涙が、ピタッと止まった。
「それで……お腹空きません?」
スイッチが切り替わったかのように柳田が、爽やかな笑顔を颯汰に向ける。
「へ?」
唐突な質問に、颯汰の目が点になる。
急になに?
泣きそうになってからの笑顔。
別人か!?
「俺、何か朝ごはん作ります」
「え…いいですよ。もう帰り…ます…」
と言うか、帰りたい…。
昨日から災難…。
我が家に帰って、疲れをとりたい…。
「えー、お詫びに食べてください。と言うか、絶対食べてください‼︎お願いします‼︎」
キラキラした瞳で柳田が颯汰を見つめた。
この見つめ方…、嫌な予感が…。
「だって初めての朝、一緒に朝ごはん食べる設定憧れです」
設定?
もしやそれは…。
「その設定って…」
恐る恐る颯汰が尋ねると、
「それはもちろんBL設定です!」
弾ける笑顔で柳田が答えた。
やっぱりBL設定!!!
全然懲りてない!!!!
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