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柳田の部屋での勉強会 ②
俺、女子じゃないけど……。
この話、胸がキュンキュンする!!
この2人の初々しさ加減が可愛い!!
俺にもこんな時期、あったなー。
遠い昔だけど…。
柳田に貸してもらった本は、峰山たちからの漫画とは違い、濡れ場なし、ほんわかした2人が手を繋ぐのもドキドキしながら、タイミングを見計らったり、恋人の家にお泊まりに行くが何もなく、2人で映画を観て、肩が触れたか触れていないからでドキドキしたり……。
続きが気になる…。
颯汰が二巻目を手にしようとした時、
「原先生、ちょっと休憩しませんか?」
キッチンで何かゴソゴソしていた柳田が、ワインと数種類の料理を持ってきた。
「これは…」
見るからに高そうなワインに、トマトのアヒージョ、きのこで作ったであろうマリネ、生ハムのサラダに、色々な種類のチーズが綺麗に並べられている。
いつの間に⁉︎
出された料理をみて颯汰が驚きながら柳田を見る。
「家にあったもので作ったので、たいしたものはできませんでしたが…。お酒を飲みながらの勉強は、大人の特権ですよ」
そういいながら、柳田は颯汰にワイングラスを手渡し、
「赤でよかったですか?」
手際良くコルクをあけ、颯汰のグラスにワインを注いぐ。
ワインなんて全然わからない俺だけど、凄くいい香り。
確実に高い香りもする。
「いいんですか?こんなに良さそうなワインを頂いても…」
「ええ、兄のですからお気になさらず沢山飲んでください。まだまだありますよ」
柳田はダイニングの奥にあるワインセラーを指さした。
!!!!
ワインセラーじゃないか!?
しかもお兄さんのワイン!?
勝手に開けていいのか!?
勝手に飲んだら……だめでしょう…。
「お兄さんのワインだったなんて…。いただけないですよ…」
お兄さん、後で飲むのを楽しみにされてたりすると思うし…。
「いえ、大丈夫です。兄はアルコール弱いのでほとんど飲みませんし、多分これは観賞用だと思います」
にこやかに柳田が答える。
観賞用!?
余計にダメじゃん!!
「お兄さん、大切にされてたんじゃないんですか?このワイン…」
俺…多分、弁償できないと…思う…。
「あー、多分兄は何があるかとか忘れてると思うので大丈夫だと思いますよ。しかも飲まないのに飾るなんて邪道です」
柳田も自分用のワイングラスにワインを注ぎ、
「怒られる時は、一緒に怒られましょう」
そう言いながら『乾杯‼︎』と颯汰のガラスとカチンと鳴らす。
……。
だから、怒られたくないんだって!!
勝手に共犯にしないでくれー!!
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