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戸惑い
「頼みがある」
塾からの帰り道,私は着信が入っていることに気がついて折り返した。
彼の声は低音だ。多分,大事な話なのだ。
私はスマホに耳を近づける。
「どうしたの?」
なんだか,悪い予感がした。でも,明るい声で言う。
「俺…」
そんなに言いにくいことなのか,と私は察した。
「言いづらいならメールでも良いよ」
「ありがとう。でも,ちゃんと伝えたい。」
真剣な声に私は背筋をピッと伸ばす。
「じゃあなー」
塾が同じ男子に言われて私は振り向く。私は曖昧な笑みを返した。
そうすると,その男子は電話中の私に何を思ったのか「わりぃ」と言って去ってた。
「今の誰?男の声したけど」
「塾が同じ男子。今,塾の帰りだから」
「あぁ,そっか」
納得したような口調に心配性だなぁ,と思う。でも,今の感じからして別れ話では無さそう。
「それより,話って何?」
私は少し気が引けたものの聞いてみる。電話の向こう側で深呼吸する音が聞こえた。
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