戸惑い

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 彼は驚いたような,少しイラッとしたような声がする。まさか私に反対されるとは思わなかったんだろう。  さっきから大量に信号を逃してる。私は少しだけ後ろに下がった。 「ねぇ,良いの?」 「お説教か?お前も恨んでたのに?」  そう言われて私は何も言えなくなった。そりゃあ,恨んでる。 「でも,犯罪はダメだよ」  そう言うと彼は少しの間黙って,やがて言う。 「少し考えとく」  そう言うと電話は切れた。  私は少しだけ戸惑いを浮かべた。彼の人生を壊してしまった気がして。 「犯罪って何?」 「あんたには関係ない」  さっきのメッセージ内容と同じ回答をする。 「なぁ,明日どっか行かね?」  私はその言葉に目を見開く。 「どうしたの,急に」 「詳細はLINEで送る。じゃあな」  私の質問は無視か。でも,考えてみればどこかに出かけるのは久しぶりだ。  まあ,行っても良いか。
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