デート

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デート

 昨日,言ってた通り詳細は送られてきた。 『駅前集合』  どこに行くの,と聞いても教えてくれなかったけど。どこ行くんだろ…?  私は約束の時間より少し早めに来た。 「悪い,遅くなった。待った?」  少し,いや結構待って来る。 「今来たところ」  本当はめっちゃ待ったけどね。 「じゃあ,行くか」 「どこ行くの?」  そう聞いたら少し笑みを浮かべるだけで答えてはくれなかった。 「なんで今日誘ったの?」 「昨日,泣きそうな顔して電話してたから」  えっ…?私,泣きそうだったかな。 「泣きそうなんかじゃなかったよ。同情ならやめてよね」 「でも,辛そうだったぞ。よくわかんねぇけど,犯罪犯したの沙苗(さなえ)の大切な人なんだろ?」  それは…そうだけど。 「犯罪なんて犯してないよ。誰も」  私はすぐにバレるような嘘をついた。きっと気づいたはずだ。でも,それ以上は何も言ってこなかった。 「そっか。なら良かったな」 「…ん」  私は適当に返事をする。何が良かったんだろう。
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