2人が本棚に入れています
本棚に追加
デート
昨日,言ってた通り詳細は送られてきた。
『駅前集合』
どこに行くの,と聞いても教えてくれなかったけど。どこ行くんだろ…?
私は約束の時間より少し早めに来た。
「悪い,遅くなった。待った?」
少し,いや結構待って来る。
「今来たところ」
本当はめっちゃ待ったけどね。
「じゃあ,行くか」
「どこ行くの?」
そう聞いたら少し笑みを浮かべるだけで答えてはくれなかった。
「なんで今日誘ったの?」
「昨日,泣きそうな顔して電話してたから」
えっ…?私,泣きそうだったかな。
「泣きそうなんかじゃなかったよ。同情ならやめてよね」
「でも,辛そうだったぞ。よくわかんねぇけど,犯罪犯したの沙苗(さなえ)の大切な人なんだろ?」
それは…そうだけど。
「犯罪なんて犯してないよ。誰も」
私はすぐにバレるような嘘をついた。きっと気づいたはずだ。でも,それ以上は何も言ってこなかった。
「そっか。なら良かったな」
「…ん」
私は適当に返事をする。何が良かったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!