婚約披露でいいのかな?

2/13
前へ
/207ページ
次へ
 その週末、ちょうど仕事の都合がついたので、優香ちゃんと帰りにご飯に行こうと誘ってみた。  待ち合わせは、会社のエントランスにある商談スペースの辺り。  月初処理が終わって、総務課は定時上がりがしやすいらしく、優香ちゃんがさきに待っていた。 「ごめんね。待った?」 「ううん。私もさっき来たばかりだよ。」  今日は、真面目に話したいからと居酒屋ではなく、ランチでよく行くカフェにした。  注文すると優香ちゃんが促すような瞳でこちらを見る。 「今日はどうしたの?」 「ちゃんと優香ちゃんに話そうと思って。私ね、拓哉のこと好きなの。優香ちゃんにも絶対渡したくない。」  私が言うと優香ちゃんは、はぁーと大きなため息を吐いた。 「私ね、拓哉さんに告白したりお誘いするたびに断わられていたんだけど、途中から理奈ちゃんが私に気持ちを言ってくれるまでは、悔しいからやめてやらないんだって意地になっていたんだよ。 拓哉さんが理奈ちゃんしか見てないのは分かっていたけど、理奈ちゃんが拓哉さんを見る目がさ、分かりやすいのに認めないんだもん。 やっと認めたね。ほんともう拓哉さんと仲良くしてよ。」 「優香ちゃんって、本当に拓哉のこと好きだったの?」 「今となってはわからないかも。ハイスペックでいいなとは思ったけど…私、理奈ちゃんの方が実は好きなのかもしれない。」  なんだかよくわからないけど、優香ちゃんとは、これからも友達でいてもいいんだよね。きっと…  黙っていてごめんね。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2208人が本棚に入れています
本棚に追加