2208人が本棚に入れています
本棚に追加
その週末、ちょうど仕事の都合がついたので、優香ちゃんと帰りにご飯に行こうと誘ってみた。
待ち合わせは、会社のエントランスにある商談スペースの辺り。
月初処理が終わって、総務課は定時上がりがしやすいらしく、優香ちゃんがさきに待っていた。
「ごめんね。待った?」
「ううん。私もさっき来たばかりだよ。」
今日は、真面目に話したいからと居酒屋ではなく、ランチでよく行くカフェにした。
注文すると優香ちゃんが促すような瞳でこちらを見る。
「今日はどうしたの?」
「ちゃんと優香ちゃんに話そうと思って。私ね、拓哉のこと好きなの。優香ちゃんにも絶対渡したくない。」
私が言うと優香ちゃんは、はぁーと大きなため息を吐いた。
「私ね、拓哉さんに告白したりお誘いするたびに断わられていたんだけど、途中から理奈ちゃんが私に気持ちを言ってくれるまでは、悔しいからやめてやらないんだって意地になっていたんだよ。
拓哉さんが理奈ちゃんしか見てないのは分かっていたけど、理奈ちゃんが拓哉さんを見る目がさ、分かりやすいのに認めないんだもん。
やっと認めたね。ほんともう拓哉さんと仲良くしてよ。」
「優香ちゃんって、本当に拓哉のこと好きだったの?」
「今となってはわからないかも。ハイスペックでいいなとは思ったけど…私、理奈ちゃんの方が実は好きなのかもしれない。」
なんだかよくわからないけど、優香ちゃんとは、これからも友達でいてもいいんだよね。きっと…
黙っていてごめんね。
最初のコメントを投稿しよう!