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クインホテルTokyoのメインホールのドアの前に私と拓哉は、スタンバイしている。
今日は婚約披露パーティー。
お義父様の挨拶や来賓挨拶の後、私たちが入場すると言う段取りらしい。
のだが、先程から私たちの目の前で泣きそうなおじさんが、ひとり。
「理奈ちゃん、一段ときれいだな。おじさんは、寂しいよぉ。」
「かずおじさん。実の娘じゃないんだから、嫁に行っても変わらないでしょ。」
「でもさ。理さんとあずみちゃんの子どもって事は、うちのサークルの全員の娘みたいなもんだし。」
いや、あなたもクインホテルの社長なんだから、中に入っていなきゃいけないんじゃないの?
「社長、いい加減にしてください。宝田副社長に怒られますよ。」
「それは、まずいが中だと理奈ちゃんと話が出来ないからさ。今年度になって、誰かのせいで理奈ちゃんがうちまで来てくれなくなったし。」
拓哉の方を見て、ぶつぶつ言うかずおじさんを秘書の細川さんが、ホールの中に放り込んで、こちらにウィンクした。
「うちの社長が、失礼いたしました。」
「いえ、かずおじさんには、また遊びに行くと言っておいてください。」
「甘やかすと後が大変ですよ。」
細川さんが立ち去ると2人だけになる。
「秘書にも色んな人がいるね。」
「付く上司によって対応が変わるからね。」
「理奈はどんな秘書になるのかな。」
「それは拓哉次第じゃない?」
「秘書と上司も夫婦もうまくやっていこうね。」
2人で顔を見合わせて笑った。
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