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「息子の拓哉と婚約者の理奈です。」
お義父様の紹介で、挨拶して回ること1時間。
主な方々に挨拶し終わると知った顔が近寄って来た。
まぁ当然なんだろうけど、私たちの出身校はそれなりの子弟が通う所だったから、今日のパーティーにもチラホラいるのよね。
「理奈っち。婚約おめでとう?」
「なぜ、ハテナマークが付いてそうなイントネーションなのよ。」
「理奈っちは、良いのかなってね。それと拓哉くんはどこ?」
私たちのクラスメイトだった加賀谷美幸は、キョロキョロしながら聞いてきた。
「良いに決まっているわよ。拓哉はここにいるじゃない。」
「は?理奈っちの隣にいるのが、拓哉くん?秘書じゃなくて?」
「秘書がタキシード着るかよ。ひどいな、加賀谷。」
「やだっ。拓哉くんってゲームしている根暗ーっなイメージしかなかったから、びっくりだよ。こんなイケメンだったの?」
そういえば学校の友達は、こっちの拓哉をほぼ知らないんだ。
「僕のことは理奈が知っていれば良かったからね。」
「たしかに…ちょいちょい有能ぶりを発揮してたのは理奈が絡む時だったわね。ってことは、拓哉くんおめでとう。 理奈っちが、やっと振り向いたってことね。」
「あぁ。もう離してあげないつもり。」
拓哉がそう言いながら、私をバックハグするから、私はアワアワしてしまう。
「そんだけラブラブなら安心ね。改めておめでとう。」
「あ、ありがと…」
「高校の友達には、2人がラブラブだって広めとくから。」
手をヒラヒラと振りながら、去っていく彼女の一言を衆人環視の中でのバックハグのせいで真っ白なのか真っ赤なのかという私は深く考えていなかったが、その夜、元クラスメイト男女全員からのグループLINE質問攻撃に晒されることになった。
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