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まっ白な壁に囲まれたまっ白なベッドの中に、ぼくはいた。
大丈夫、きっとよくなるよ。
ぼくは静かにうなずいて、眠りについた。
深い深い、眠りだった。
気がつくとぼくはドッグにいた。
機体の表面は傷だらけで、それを修理ロボットが修復していた。
どうしてこうなったんだっけ?
ああ、そうだ。
ぼくは飛行テストでうまく飛べず、墜落したんだった。
その時の衝撃でぼくは意識を失ったらしい。
宇宙船が気絶するなんて変な話だ。
しかも眠っているあいだに何か夢を見た気がする。
どんな夢だったかは、覚えていないけれど。
ふと目をやると、ドッグの片隅に顔に傷のある男と技術者さんが立っていた。
二人は、何か話をしていた。
「それで、215はなぜ墜落したのだ?」
「そ、それは……」
「どうした、はっきりと言いたまえ。失敗を認め原因を追究しなければ、前には進めないぞ?」
「……機体にもプログラムにも問題はなかったはずです。だから……、あるとすれば彼自身の問題かと……」
「つまりソウルコアが原因だと?」
「はい……。ソウルコアは文字通りロボットの魂で、それぞれの個体で個性が現れます。ですので、他の機体との差が出るとすれば、そこしか……」
「だが個性の出現が早過ぎやしないかね? 現に他の四機には個性などまったく現れていないではないか。もし今回の失敗の原因がソウルコアだと言うのなら、初期設定の段階でミスがあったと考えるのが妥当だと思うが?」
「そ、そんなことは……。ソウルコアは人が作ったものでありながら未知な部分が多くあります。そもそもなぜ自我が芽生えるのかも分かっておらず――」
「言い訳はもういい、問題は結果だ。ラディウスの制作費がどれだけのものかは貴様もよく分かっているだろう? その一機が機械の魂とやらのせいで飛べないなんて笑い話にもならない。飛べるように修正したまえ」
「しゅ、修正って、ソウルコアをですか?」
「無論だ」
「しかしソウルコアの修正は……」
「できないと言うのかね?」
顔に傷のある男は、自分の首をさすりながら言った。
「い、いえ……。分かりました。修正いたします」
「よろしい」
顔に傷のある男は技術者さんの肩をぽんと叩くと、かかとを鳴らしてドッグから去っていった。
その場に立ち尽くしていた技術者さんも、やがて別の出入り口へと向かい姿を消した。
ドッグから人がいなくなり、ロボットだけがぼくの周りで忙しなく動いた。
ソウルコアはロボットの魂。
それを修正するということは、ぼくは……。
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