BANKEN番外「風邪立ちぬ」

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BANKEN番外「風邪立ちぬ」

 高熱が出るとナニがだらーんとするそうな。  これは、俺のいい加減な知識なんかじゃあない。  精巣の熱によるタンパク質変化を避ける為、体温の影響を受けないように身体から遠ざかり、逆に寒いと熱を求めて縮こまる。質を保つ為の防衛本能なんだって。これは、れっきとした偉い……ええっと、なんたら……。と、とにかく偉い先生が言ってた事だから、本当だ。 「だからと言って、病人の下着を剥いでその人の健康状態を確かめるのもどうなんですか? ケン」 「だって、今、体温計見つからないんだし」  とかく健康体な俺と石原さんの愛の巣に体温計など縁がなかった。これまでは。  急な事で、そんなものは見当たらない。  そういえば昨日、石原さんの体温は少し高かった気がする。無論、これは俺の抱擁調べ。  そうと気付かずに俺はいつものように石原さんに夜を強請って、無理をさせちまった。  だから今日の石原さんの体調の悪さは、俺の責任に他ならない。 「ああ、やっぱりだらーんとしてる!」 「その形容、なんとかなりませんか?」 「だって、だって石原さんのナニが……。大事なナニが……」 「触るな、駄ケン」
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