干支物語

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 むかしむかし。  あなたが思うよりおおむかし。  ある年の暮れのことです。  神様が動物たちにお触れを出しました。  「元日の朝、新年の挨拶にくるといい。   一番早く来た者から順番に十二番目の者まではそれぞれ一年の間、動物の大将にしてやろう」  動物たちは、自分が一番とて、めいめいが気張って元日が来るのを待ちました。  ところがねこは神様のところにいつ行くのか忘れてしまいました。  なのでねずみに訊くと、ねずみはわざと一日遅れの日を教えたのです。  ねこはねずみが言うのを間に受けて安心して帰りました。  さて元日になると牛はいいました。  「我は歩くのが遅いがゆえに、一足早く出かける」  そして夜のうちから支度をし、まだ暗いのに出発しました。  牛小屋の天井でこれを見ていたねずみは、そっとと牛の背中に飛び乗りました。  そんなこととは知らず、牛が神様の社に近付いてみると、まだ誰も来ていません。  我こそ一番と喜んで待つうちに門が開きます。  すると颯爽とねずみはに牛の背中から飛び降り、ちょろちょろっと走って一番になりました。  それで牛は二番、それから虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順で着きました。  ねこは一日遅れで着いたので神様に怒られます。   「顔を洗ってこい!」  そして顔を洗いに行く途中にねずみはねこにみつかりえっちなことをされました。 ねずみは、そんなシナリオを頭に浮かべています。 イケメンねこが好きで好きでたまらないどこにでもいる妄想系女子です。 神様が現れねずみの妄想通り世界の動物たちに言いました。 「元日の朝、新年の挨拶にくるといい。  一番早く来た者から順番に十二番目の者まではそれぞれ一年の間、動物の大将にしてやろう」 ねずみはもうこのチャンスを逃したらねことえっちなことは出来ないと思いました。 ふとねずみはねこの方を見ました。 ねこはメモに綺麗な字でその内容をメモします。 「なにしてるの?」 わかっている。 わかっているのに。 聞きました。 「さっきの神様の話……メモしたんだ」 「そっか」 「一等賞目指す?」 「もちろん!」 ねずみは妄想します。 次々と現れるイケメンたちにえっちなことをされるのも悪くない。 他の女子も交わって12Pだ! ねずみの妄想は止まりません。 もう神様も混ざって…… ねずみの思考回路はショート寸前。 唇と唇 瞳と瞳 手と手 神様は何も禁止なんかしてない ねずみが妄想している間に大晦日がやってきます。 ふと思います。 今から追いかけても一等賞どころか神様の社につけないかも知れない! 慌てて慌てて慌てて。 そしてふかふかのベッドから飛び降ります。 「はい、ねずみさん一等賞」 神様がいいます。 「主、なかなかの策士だな」 牛がそういうと 「え?どういうこと?」 ねこは首を傾げます。 「君は牛さんの背中で眠っていたんだよ」 ねこがそういうと小さく笑います。 「えー。私一等賞?」 「そうだよ」 ねずみは嬉しいような嬉しくないような。 複雑な気持ちになりました。 「ねこさんとのイケナイ時間はないのですか?」 ねこは黙ります。 ねずみは悟りました。 嫌われた。 引かれるよね。 当然だよね。 「僕、前からずっとねずみさんに言わなくちゃいけないことがあったんだ」 ねこからの言葉で傷つく未来しか見えません。 「僕、虎なんだ」 「……」 「ほら僕には耳の裏に白い丸印があるでしょ?  この模様はねこにはないんだ」 ねずみの頭はまっしろになりました。 頭の中だけはなく毛の色も白くなりました。 -おしまい-
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