第一話 核

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 ユキはどこか切なそうに笑ってから、お手洗いに走った。僕はその間にスマホを取り出した。  やっぱり来てる―…  不在着信、という事が表示されているロック画面を解除し、その人物に電話を繋いだ。  大体、その人物は何も用事なかった場合、三コール目でとる。  プルルルル…一回。プルルルル…二回。プルルルル…三回…。 『もしもしぃ?』  とてつもなく機嫌が悪そうに相手は電話を取った。僕は居間から立ち上がり、トイレまで届かないようにと玄関へ向かう。 「さっきは電話に出れなくて悪かったよ。んで、なんか用か?」  僕がそう聞くと、相手から長い重いため息が聞こえた。 『用なんて聞かなくても分かってるでしょ?、虚空』  そう言われ、僕はハッと笑った。僕は相手には届いていないのに小さく頷き、スマホをより近くに耳に当てた。 「しつこ過ぎて笑ってしまったよ、」  そう、僕は笑いながら言うと姉貴はまた、深い、長い重いため息を吐いた。
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