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ユキはどこか切なそうに笑ってから、お手洗いに走った。僕はその間にスマホを取り出した。
やっぱり来てる―…
不在着信、という事が表示されているロック画面を解除し、その人物に電話を繋いだ。
大体、その人物は何も用事なかった場合、三コール目でとる。
プルルルル…一回。プルルルル…二回。プルルルル…三回…。
『もしもしぃ?』
とてつもなく機嫌が悪そうに相手は電話を取った。僕は居間から立ち上がり、トイレまで届かないようにと玄関へ向かう。
「さっきは電話に出れなくて悪かったよ。んで、なんか用か?」
僕がそう聞くと、相手から長い重いため息が聞こえた。
『用なんて聞かなくても分かってるでしょ?、虚空』
そう言われ、僕はハッと笑った。僕は相手には届いていないのに小さく頷き、スマホをより近くに耳に当てた。
「しつこ過ぎて笑ってしまったよ、姉貴」
そう、僕は笑いながら言うと姉貴はまた、深い、長い重いため息を吐いた。
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