うちの家族は、どこかズレているけど、嫌いじゃない

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「違うの。家族が増えるのは嬉しいの。けど、ほら、うちは子どもが多いからお父さん、スポーツチームでも作るのつもりなのかなって。」 友達に聞かれた事を、そのまま聞いてみる。 父親の仕事の次に、からかわれている事が兄弟の多さだ。 「何も考えてない訳じゃ無いと思うわよ。お仕事頑張ってるから、その分いらいらして、性欲有り余ってるのよ。」 知りたくなかった夫婦の事情。少し引いてしまうが、兄弟の多さが事実だと物語っている。 母親が毎朝疲れてるのって、それもあるのか、といった理由もあるのだが、口には出すまい。 「寝室分けようと思ってるんだけど。愛奏の隣にお母さん移ってもいい?」 「いいよ。狼から避難しな。」 「そんな話を昼間から娘とするな。父親を狼言うな。」 背後で、父親が仁王立ちしていた。 「あと、寝室は分けない。何で夫婦が一緒に寝ちゃいけねぇんだ。ふざけるな。骨折られても刺されても阻止するぞ。」 ヤクザ並の父親の凄みに、私はもう怖くもなくなってしまった。言う内容が、ただの束縛男でしかない。決意表明に、ただ気持ち悪いと思ってしまった。母親も同じなのか、父親を見る目が冷たい。 「うーん、まぁ、仕事を辞めろと言われないだけマシかな。」 お母さんは肩をすくめて笑う。 「本当は辞めろと言いたいがな。危ないし。」 「え、レジ打ちの何が危ないの?」 「え?」 「あ?」 2人が同時に私を見つめる。父親は唖然とし、母親は幼い子どものように口をぽかんと開けたかと思えば、大きな声で笑い出した。 「え??何?」 2人の反応の意味が、私には全くわからない。先に訊ねて来たのは、母親だった。 「ふふふ…あんた、お父さんどころか、お母さんのお仕事も知らないの?」 「嘘だろおい…。龍勇も、チビ共も知ってんだぞ?なぁ、こいつ親に興味なさ過ぎだろぉぉ…。普通親の仕事に興味持つよな?」 龍勇は兄の事だ。母親の天然を引き継いだ兄が、気づいていたというのに。何だか、悔しかった。 「まぁ…うーん…知らなくても死なないわよ。私も親の仕事、長い事知らなかったし。」 「はぁ!?何だそれ。お前の遺伝じゃねぇかよ!!」 「そんな私のせいにされても…。」 父親は呆れるを通り越して、不貞腐れてしまっていた。ちゃっかり、母親に膝枕をして頭を撫でて貰っている。いい年こいてと言ってやりたいところだが、私が何をどう間違えたのか知る方が先だ。
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