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第6話 入部
俺の声の後、数秒は沈黙が続いた。先輩は驚いたのか、俺に引いてしまったかは分からないが、何かしらの衝撃は受けているらしかった。
「よさこい部に入ってくれるの?」
「はい!お願いします!」
先輩は部室の鍵を両手で握りしめ、唇を固く結んだ。また緊張と沈黙が続くかと思ったが、先輩は俺に向かって走ってきた。突然の動きに俺の目は先輩を上手くとらえることができない。先輩は今どこにいるのか。その答えは先輩の温もりを肌で感じるまで分からなかった。
「ありがとう……。本当に、本当に……。」
消え入りそうな弱々しい声でささやきながら先輩は両手で俺を抱きしめていた。いったい今なにが起きてるんだ。現状を整理するだけで脳内はオーバーフローする。先輩は俺を、こんな俺を受け入れてくれた。それが分かっただけで一気に全身の力が抜けた。
遠くから下校のチャイムの音がする。
「ごめんね、飯島君。本当に、本当にうれしかったから……。」
再び俺の視界に先輩が現れる。先輩は泣いていた。
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