プロローグ。

2/22
673人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
 店員には、私があらゆる審査から勝ち残った最高のイケメンを用意しました。  修行した美味しいデザートにコーヒーそしてランチ。 あ、キッチンスタッフも、もちろんイケメンです♡  女性客と一緒にお喋りをしたりを記念撮影なんかもしたり、とにかく逆ハーレムを楽しめるそんな喫茶店だ。  どうですか?最高だと思いませんか? 「菜々子さん。この新作料理の味見をお願いします」 「菜々子さん。次の指示をお願いします」  イケメンな彼らが私を頼り信頼してくれてる。 恋なら叶わなかった夢がここには存在しているのだ。 「いいわ~イケメン♡」とうっとりと見惚れてしまう毎日だ。 こんな人生があるなら結婚しなくてもいい。  ハーレムに包まれながら老後を迎えるなら一生独身でもいいわ。最高の贅沢ね。なのに……。 「あんた。ここに登録して来なさい!」  ある日。母が突然婚活パーティーの申込書を持って一人暮らしをしている自宅に来た。またか……。  この前は、お見合い写真だった。 「はぁっ?何で私が、そんな所に行かないといけないのよ?」 「これぐらいやらないとあんた、いつになっても結婚しないじゃないのよ!?もう32なのよ?」 「いいじゃない。私結婚する気なんてないし。  まぁ、私好みのイケメンが結婚してくれるのなら考えてもいいけど」  ボリボリとポテチを食べながらテレビを観ていた。 文句があるなら連れて来てよ……。  このテレビに出てくるような超絶美青年を。 「あんたねぇ~まだそんな夢みたいな事を言ってるの?  現実を見なさい。あんたには、普通でも真面目で誠実な人が居れば、それでいいじゃない?」  真面目で誠実って……どれぐらいの人が居るのだろうか?  そっちの方が捜すの難しくない? それに居ても顔が普通なら面白くもドキドキもないわね。 「何処か居ないかしらね?真面目で誠実なイケメンは……」
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!