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またもや説教をされてしまう。
何で知ってるの……?まさか、私を見ていたの?
あの目が合った時に気づかれたのだろうか。
「お前は、やる気以前に積極性が足りん。
まぁそんな事は、後でじっくりとするとして、せっかくだからこのまま食事に付き合え。
これからお前の足りない部分の事で、じっくり話し合うぞ!」
……はい!?足りない部分の事で話し合いって……。
何で私が不知火課長と一緒に食事をしないといけないのよ?いや、絶対に嫌だ。
「すみませんが、これから予定が……失礼します」
私は、そそくさと頭を下げて帰ろうとする。
すると私の腕をガシッと掴まえられる。ひぃぃっ!?
恐る恐る見るとギロッと睨み付けられていた。
まるで蛇に睨まれた蛙だ。
「それは、急に要するような用事か……?」
「いえ……大丈夫です」
あぁ、せっかくの放送日が……。
相田君が観えない。泣きたい気分になった。
結局、拉致されるように駅前にある小料理屋に連れて行かれた……。ひぃぃっ!!
小料理屋は、古風で落ち着いた感じのお店だった。
雰囲気のいいお店なのだが、空気が重い。
何故なら課長が黙ったまま熱燗を飲んでいるからだ。
これは、何の接待ですか……?
「あの……どうぞ」
仕方がなく恐る恐るお酌をする。
何とか怒らせないようにして、さっさと食べたら帰ろう。
じゃないと気疲れ過ぎて死ぬ……。
「うむ。ところで宮下は、今何の仕事をしているんだ?」
ギクッと肩が震える。
聞かれたくない質問が来てしまった……。
「いえ、大した仕事じゃないですよ」
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