プロローグ。

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プロローグ。

 私は、32歳にしてまだ独身だ。 周りの友人や先輩、後輩などは、すでに結婚していたり子育てに奮闘している事だろう。  普通なら、いくら最近の結婚年齢が高くなっているからと言ってもそろそろ結婚に焦る年だ。  しかし私は、他の人とは明らかに違う。  何故なら私は、極度のイケメン好きだからだ! そこいらのミーハーとも違う。  あれは、5歳の頃だった……。 テレビで観たイケメンアイドルを観て衝撃を覚えた。 「この世の中にあんなキラキラした男性が居るのだろうか!?」  キリッとした綺麗な顔立ち、肌のツルツルな美白。 いや、こんがりした肌のイケメンも捨てがたい。  とにかくイケメンは、最高だ!  それ以来。イケメンと言うイケメンを捜し崇拝して過ごした。  それは、アイドルから二次元のイケメンキャラまで。 だが、しかし。学生になり成長する頃には、ある事に気づかされた。  私は、イケメンに惚れられるような外見じゃないことに……。  外見は、地味で平均並み。スタイルも普通。 モテモテ人生を歩んでいるイケメン君にしたら完全にモブキャラ扱いだろう。  人間……大事なのは、中身だ!と誰かが言っていましたが違います。  大事なのは、100%外見です!! だって、ブザイクな人と一緒に歩きたいと思いますか?  ブザイクな人とキスしたりハグしたり、結婚したいと思うでしょうか?私は、断然思いません!  そりゃあ、ブザイクな人達の中には、優しい人や素敵な人も居るかもしれません。  私だって悩み……妥協して釣り合うような普通の人と付き合った事もありました。でも、ダメでした。  何故なら、ときめきがないからです!  はぁっ?平均並みのくせに、何気取ってるの?とか こういうのは、イケメンの人にやって欲しい……とか  そればかり願望や失望ばかり出てしまい気力も失せました。   女子力を磨いたりもしましたが、やっぱりすでに彼女が居たり、美女がライバルだったりと叶う訳もなく。  そこで私は、ある事に気づきました。 恋が叶わないのなら、それを生かした仕事に就けばいいのだと……。  悩みに悩んである決断をする。 そのために学生時代は、いろんなバイトに明け暮れました。  社会人になっても食事を断り、節約と資格を取ったりと大忙しだった。  あ、もちろんイケメンの追っかけや観察は、忘れていません。  30歳になる頃には、目標金額も貯まり会社を脱サラ。 念願のお店をオープンしました。 名付けて『イケメンパラダイス喫茶』だ!  そのままの通り喫茶店なのだが他と違い、イケメン店員しか存在しない。 女性店員は、オーナー兼店長の私のみ。
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