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図書委員長に選ばれるまで、私は流されるまま日常を過ごしていた。
でも、三年生になって委員長という役割を与えられたことで、いろんなことの考え方や見方が変わっていった。
私は、夢を見ていた。
放課後の図書室にいる私。そして、もう一人。見覚えのある女子生徒。でも、名前が思い出せない。彼女がいつもこの時間に、ここにいることを私は知っていた。
いつも彼女は、『なにか』から逃げてきているようだった。そう感じたのは、彼女はいつも図書室の奥に駆け込むから。そして、いつも『なにか』におびえていた。その『なにか』の正体を彼女に聞かなくても、私も知っている気がした。
気づけば、今度は中学校の図書室にいた。
「なつかしい…。でも、なんで…」
ふわふわする意識の中で、私は図書室を見回していた。一人の女子生徒が、奥に並ぶ本棚の間にしゃがみ込んでうつむいていた。
「あの子は…」
私はその光景で、はっきりと気づいた。彼女が私自身だということを。
「そうか。私、いつも部活が嫌で図書室に逃げ込んでた。あの子は、過去の私なんだ…」
一人呟くと、ほんのりと明るい光が見えてきた。近づいてくる光の温かさを感じながらも、私は眩しさのあまり両腕で顔を覆った。
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