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あの日、病院に行くと足のねんざだけで済んでいた。ただ、両親にはすごく心配されてしまったし、しばらく学校を休むことにもなってしまった。
結局、私が登校したのは二週間経ってからだった。
その日、登校すると学校中が騒がしかった。その理由はすぐにわかった。
「…あぁ、そうだった。もうすぐ文化祭か」
「あ、詩希先輩」
昇降口で一人取り残された気分になっていた私に声をかけてきたのは、ちょうど前を通りかかった千葉くんだった。
「千葉くん…」
図書委員の生徒に会えて嬉しかった私だったけど、それよりも千葉くんの表情が四月よりも明るくなっているような気がして呆然とした。
「……なんだか、明るくなった?」
「それは、先輩のおかげですよ」
「え、私?」
千葉くんの言葉に、私は目を丸くした。
「まぁ、…とりあえず、図書室に行きましょう。みんなも文化祭の準備してから集まると思うので…」
「え、ちょっ」
混乱し始めた私をよそに、千葉くんは歩き出した。
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