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私と千葉くんが他愛のない話をしていると、少しずつ図書委員の生徒たちが集まってきた。図書委員担当の阿部先生はもちろん、なぜか杉田先生も来た。
「す、杉田先生!?なんで、図書室に?」
杉田先生は男子バスケットボール部の顧問だから部活のほうにいたんじゃないのかと、私は驚いた。
「全員集まったみたいだな。水本、保健室の水野先生に文化祭でやりたいことを話したんだって?」
「え…。あ、はい」
答えになっていないと戸惑いながらも私は頷く。水野先生にしか話していないはずなのにと思ったけど、保健室での出来事や状況は各担任に伝えていると水野先生が話していたことを思い出した。
「水本さんが休んでいる間に、文化祭で図書委員会も楽しい企画するのもいいかもしれないって三年生から話が出てね。ちょうどいいから、今日集まって話し合おうかってなったんだよ」
「えっ?」
そう話したのは阿部先生だった。私は驚いて目を丸くしながら、集まった生徒たちを見た。目の前にいる彼らは、四月とはまったく違って輝いて見えた。みんな充実しているような表情をしている。
「……水本は変わりたくない、変わるのが怖いって思ってるかもしれないが、ここにいるみんなは少しずつ変わっているんだ。水本と出会ったことで、大きく変わった生徒だっている。今のお前ならこんなに支えたいって思ってくれてるやつらがいる」
「先生…」
杉田先生はちゃんと私を見ていてくれた。そう思うと涙が出てきた。そんな私に気づかずに杉田先生は話し続ける。
「今からでも遅くない。…しっかり前を向いてみろ。怖いことばかりじゃないはずだ」
はっきりとした杉田先生の言葉に私は笑顔で頷いた。
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