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あの発言が、彼女の本心ではないことくらいは分かっている。明らかに断るための理由を探していたし、ひらめいたとばかりに言った言葉は、見当違いなものだった。
もし仮に未成年のうちは嫌だというのなら、あと二年は何も出来ないことになってしまう。いくらなんでも耐えられない。
そもそも花さんは、軽く触れるだけのキスでも顔を真っ赤にする。その姿はたまらなく可愛らしくて好きなのだが、それ以上先に進んではいけないという背徳感が生まれ、自然と手が止まる。
年齢の割に初心なのは、過去の恋愛経験が原因なのだろうと分かってはいる。
なんとなく、時期がくるまではやめたほうがいいんだろうな、と察し、気づけば付き合い始めてから二か月が経っていた。
焦ってはいけない。そう思いつつも、日に日に膨れ上がっていく感情は誤魔化しようがない。時期とやらは、一体いつになったらくるのだろう。
天井を仰ぎ、盛大に息を吐いたところで兄が再び顔を出した。
「なんか高いアイス貰ったんだけど、食べるか?」
「……どうでもいいよ」
人が悩んでいる時に、呑気なものだ。
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