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「以前もだったが、お前の主張には心底うんざりさせられる」
まるで読心術で心の中の本音でも読んでるかのよう。そういう物言いに加え、どこにいるのかもこっちから分からん始末。
どこまでもふざけてやがる。うんざりしてるのはこっちだボケが。
「俺と戦った経験がまるで活かせていない時点で失笑の極みだ。ただの物理的破壊以外に芸の無い魔法攻撃如きで、俺の肉体を破壊できると本気で思っているとはな。何故できないか、お前に分かるか?」
「クソ、また問答かよ。そういうのがしたいならもう戦いとか」
「黙れ。質問に答えろ」
身体全体をまた見えない縄みたいなので力一杯縛られる。体の中身が飛び出るんじゃないかってくらいの圧迫感。せり上がってくる気持ち悪さに思わず、ぐう、とクソ間抜けな声をあげてしまう。
「いいか、次に不要な発言をすれば、このまま絞め殺し蘇生させて、また絞め殺す。答えるまで永久だ。必要なら俺とお前以外の時間を止めてでも続けるぞ。よく考えて答えることだな」
言ってる事が、もはや支離滅裂。
いつもならそんなハッタリめいた現実離れな脅しなんぞ一蹴してやるところだが、相手はあの裏鏡。時間を止めることくらい、普通にやってきそうな気がした。
できるわけがない、やれるもんならやってみろ。いつもなら平気で言い切れるはずの台詞が、裏鏡から放たれる殺意の篭った濃密な霊圧によって、ことごとく打ち消されていく。
俺の本能が、奴の言葉を否定した瞬間に殺される。そう訴えかけてきているのだ。
「ちなみにだが天災竜王の加護も期待するな。今の俺にとって最果ての竜族など脅威にならん。況してやその弱体化個体など砂塵に等しい。お前ごとその竜王の魂、一瞬で絞殺できると知るがいい」
刹那、ずきんと心臓にデカい針でもブッ刺されたような激痛が走った。一瞬何かと思ったが、なんとなく本能でその``痛み``を悟る。
そうか、これもハッタリじゃないってわけか。お前が物理的に``痛み``でそれを伝えてくるほどってことは、ホントのホントに、マジなんだな。だったら選択肢はもう一つしかない。
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