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もはやパオングの話だけでもキャパシティがはち切れそうなのに、これ以上わけのわからない要素が増えると今日聞いたこと全部忘れてしまいそうになる。
肝心の弥平や久三男は戦後処理でこの場におらず、パオングやあくのだいまおうの話を聞けるのが自分ぐらいしかいない今、裏鏡に関する話を理解するのは骨を粉砕する思いだ。
話を聞く、覚えるだけならまだいい。しかし理解するとなると専門外になってくる。
まあ、そんなのはただの言い訳にしかならないのだが。
「グダグダ魔法談義で花咲かせてるとこ悪りぃけどよぉ」
草叢の隅で排泄物を撒き散らす子熊のぬいぐるみナージは、気張りながら澄男の方へ首をくいっと何度も向けた。
「そろそろ地べたで糞間抜けにぶっ倒れてる我らが大将を回収しにいかねぇのか? 勝負ついたんだろ」
「ああ……そうですね。いきましょうか」
「待て待て。いまファイナルウンコを捻り出す」
ぶりり、と不快な音を出しながら茶色い例のアレを野に放つと、そこらへんにあった雑草でお尻を適当に拭き取り投げ捨て、んじゃいくかと真っ白な翼をはためかせる。それと同時に、カエルたちものそりと立ち上がり、皆で澄男たちの方へ駆け寄った。
「あ……? だれか、きた、のか……? クソ……マジでなんなんだよこれ……さっきから全然前が見えねぇ」
澄男はものの見事に地面に縫いつけられていた。彼を中心に蜘蛛の巣状のヒビが無数に入り、なおかつ地面は隕石でも降ったかのように、中心部がべっこりと凹んでいる。
澄男さま、と声をかけるが、なぜか澄男と目線が交わらない。ただきょろきょろと視線を目まぐるしく変え、手や足を使って尚も居場所を把握しようとしていた。まるで失明しているかのような有様だ。
「ふむ。盲目に加え、不活の魔法毒も受けているようだな。いま解呪する」
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