白銀の暴威

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「ごはっ!?」  思考が終わらないうちに、また何の脈絡もなく何かに叩きつけられた。ごりゅ、と内臓の位置が大きくズレる感覚に耐え難い吐き気を催すが、それだけじゃない。視界も明滅し、意識も吹っ飛びそうになる。  乾いた土、もしくは砂利でも掴んだような感覚。地面に叩きつけられたのか。じゃあ視界を真っ白に染めているこの光は太陽からの光。今、仰向けになっているのか。頭がぼんやりする。思考がまとまらない。 「もう終わりか?」  太陽光らしき光を遮るように、ぼんやりと人影が俺の視界に入ってくる。脳が混乱してるのか、人物把握能力ががっくり下がってるが、耳が辛うじてその人物が誰なのかを教えてくれる。 「り……きょう……?」  掠れ声でソイツの名を呼んだ。ぼんやりと輪郭が浮かぶソイツの顔からは、乱反射させてるであろう銀髪が靡いている。  俺は地面に伏している。そして胸を中心に、何かに押さえられてるこの感覚。正しくは踏んづけられてるというべきか。 「く、そが……一体……何……しやが、うっ!?」  全身が縄にでも縛られたかのような、一切の脈絡のない圧迫感。すかさず身体がどうなってるのか確認するが、何も縄のようなものが見受けられない。何にも無いのに、見えない何かに縛られてる。  一体全体、何だってんだ。わっけワカンねぇ。 「分かる必要はない」  反論する暇なんぞあるはずもなく。  次の瞬間には身体から重力という重力が全く感じない、異様な浮遊感に支配される。だがその浮遊感も束の間、即座に急速な落下へと豹変し、防御も回避もできないまま、認識すら覚束ないまま、何かに頭から突っ込んだ。  岩が砕けるような轟音を聴覚が捉えたとき、よく分からんが岩に突っ込んだことを悟る。大量の異物が服の間に入ってくるあたり、瓦礫や砂塵と見て間違いない。また意識が昏倒する。頭を強く打ったせいか、吐き気と脂汗が止まらない。
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