招待状

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結局多くの質疑応答の末にこの案は賛成された。俺たちが参加するかどうかは二週間後に決め、決行は一か月後となった。 参加の是非を決める二週間はあっという間に過ぎ去っていった。その間俺たちは様々な議論を交わし、革命の参加について是非を話し合った。 もっとほかの方法はないのか。 今の状況を変える必要はあるのか。 彼女は俺とは比べ物にならないくらいに博識でいつも俺は教わる側だったが世間の情勢や風潮は俺のほうが詳しく、毎度の議論は白熱した。 あの大男はなぜテロという結論に至ったのか。 もし過去が変わるなら、どこを変えたいか。 今に至った決定的な出来事は何か。 後から思えばこの時が一番楽しかったのかもしれない。放課後の教室で、風が吹き荒れる屋上で、夕日が指す川辺で、雨が降りやまない神社の軒下で、それぞれの部屋からの携帯端末で。 実のある話もどうでもいい話も、現実的な話も絵空事も、楽しい話も悲しい話も互いに語り合った。 生まれて初めて人間を愛しく恋しく思った。 だがそんな日常も終わりが来る。 俺たちは決めなければいけない。 自分たちで、自らの手で自らの未来を。 俺たちは参加することにした。
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