【Ballade】♭Opus30

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 「はぁっ…はぁ…」  「ヨウ…」  窓をチラリと確認すると、大粒の雪が深々と振っていた。  季節は冬だ。いつの間にか、僕らは小学生最後の冬休みを迎えていた。  この日は、母さんと母さんの相手と初顔合わせをする日だった。漠然とした不安と苛立ちが、セイの息遣いと共に伝わってくる。  「セイ…っ、今日ちょっとはげしっ…」  「…いいじゃん、ヨウだって求めてる顔してるし」  「どうしてそんなに固執するんだよ…っ」  息絶え絶えになり、至近距離の彼を見上げる。好きな人に求められて嬉しいが、息も出来ぬほど激しい。  セイはまぶたを半分閉じ、艶のあるため息を漏らした。  色っぽい目元に下半身がキュンとした。  「ヨウはさ、普段冷静沈着で表情がないけど、二人きりでこうしている時はいろんな顔をするでしょ。…ぼく分かったんだ。ヨウはどんなにつらくてもただ顔に出さないだけなんだって」  「セイ…」  セイはギュッと僕を抱き締めてきた。決心の中に後悔の匂いが混ざっていた。  「…ぼくはヨウに抱え込んで欲しくないよ。誰が父さんになっても関係ない。嫌なんだ、環境が変わっても、せめてぼくといる時は嘘つかないでほしい」  セイは不安そうに言った。僕が返事に考えあぐねていると、セイは僕のはだけたシャツに潜り込んで、首や胸の素肌に一つ一つキスを落としてきた。また躰が燃えるように熱くなる。  もう誰が見てもお互い好き合っていると言うだろう。しかし僕とセイは、そんな状態になっても未だ、自分の気持ちを口にしていなかった。躰が性的に反応しても、行為のOKサインと黙認して、相手に侵食するだけだった。  「…ヨウが倒れた時、怖かったんだ。これ以上負担かけたくないって思った。ヨウの心が開くには、これしかないし」  セイは言いながら、僕のシャツの中に手を回す。熱くなった体温が、絡みついてきた。そのまま、耳を食まれる。  「これしかないって…っ…、」  「ヨウは、キスをしている時だけは素直だから。触れ合ってる時だけ、ヨウがんだ。…また見えなくなるのは嫌だ」  耳の下から鎖骨にかけて、唇で肌を柔らかく吸われる。同時にセイは、僕の骨が浮いた胴体に指を滑らせる。僕の躰は快感で汗ばんでしまう。  何のことか、またセイは不思議なことを言い出した。直感が優れているというか、野生の勘を持っているというか…、感性は確かに人と違うものを持っているのかもしれない。  セイの言動に少しだけ期待してしまいそうになる。  「見える…?」  「うん、心のヨウが見える時がある。本当はヨウもこういうことしたいって思ってる。だけど表面のヨウはそうしないって決めてる、そんな感じ。その内側のヨウが本当のヨウだ」  セイは頭の高さを同じにして、熱い眼差しで僕を見つめる。それはそれは、悲しいくらい狂おしい目で。  (…また、か)  的は射ていたが、僕が求めていた答えとは少し違っていた。苦笑が喉に込み上がってくる。  「…何だ、お見通し? でもセイがするそれって、ただ単に僕を探索するだけ?」  「え…」  「それじゃあ僕は悲しいな」  僕は半分自棄になって、セイの首に手を絡ませ、(いざな)うようにキスをした。もうお互いの肉棒は、未熟ながらもその存在を主張している。僕は腰をねっとり動かし、セイのソレに自分のを擦り付けた。セイのものがむくむくと硬くなっていくのがデニム越しでも分かる。  「はぁっ、はぁ…っ」  「あ…うん…っ」
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