21人が本棚に入れています
本棚に追加
彼の態度に遠慮なんてなかった。
内容以前に、喋り声のせいでテレビの音が聞こえない。うるさい。
――気を遣えよ、馬鹿(怒)
と、テレビの音量を上げる嫌がらせをしたら、「るっせーな」と文句を言いながら部屋を出て行った。
それからは私の前で電話をすることはなくなったけど、私への配慮ではなく、邪魔をされるのが嫌なだけだろう。
もちろん、申し訳なさそうな態度なんてかけらもない。
一度、怒ったら、彼は彼女がいかに親切かを説明し「だから好きになった」と、それが当たり前の帰結であるかのように結んだ。
きっと「好きになる事情があったから好きになった」は、彼のなかでは不可抗力みたいなものなんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!