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終わりに
年末になってしまった。きっとこのまま年を越すんだろう。
何度か手紙でやりとりをしたのだけど、まったく変わっていないところが怖い。彼は「戦い」続けている。自分に向けられたいろいろな「不正」と。
彼は絶対に「自分が悪い」とは思わない。警察や弁護士さんに対して「手間をかけさせて申し訳ない」「協力していただいてありがたい」と、低姿勢に接することもないんだろうと思う。代わりに「自分は正しい」という主張を繰り返し続ける。だから反省の色なし、ということで釈放されないんだと思う。
私への手紙は、一応丁寧な文面で書いてくる。形式的に「面倒をかけて申し訳ありません」と書いてくる。それに続けて、いろいろな要求をしてくる。
「自分はこれだけ体調が悪い。この情報を持って病院に行き医師の見解を聞いてほしい」だの、「これとこれとこれの支払いをしておいてほしい」だの、「前の会社から入金があるはずで、ないなら誰々に連絡をとってほしい」だの、手間のかかる要件を言ってくる。
一方で悲惨な結婚生活に対してや、私が彼の借金を被ったことなどについての詫びは一言もない。彼の荷物の整理をしていたらラブホテルか風俗のカードを見つけてショックを受けた、と書いたのにも、反応はなかった。
――あのさ、あなたは私に何をしてくれたよ?
と言いたいけど、言ったところで「うん」と真顔で頷いたきり、聞き流されるのはわかっている。
今心配なのが、私の何らかの言動が彼の怒りを買っていないか、ということ。
釈放されたのち、彼は今までのバトルを続行する気満々なのが、短い手紙でも伝わってくる。もし私に「不正」があれば、それも看過しないだろう。
怖い。会いたくない。
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