幕が上がる

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幕が上がる

 夢の中で目が覚めた。  私は……死んだのだろうか。  骨が様々な方向に曲がってくたばっただろうか。  しかし体を見る限り骨折どころか傷一つない健康体。  頬を軽くつねってみる。    「痛い」  まだ痛みがある。  生きている。  少しホッとしたような、残念な様な複雑な心境だ。  ……何故残念なんだろう。  死ぬのは怖いハズなのに。  何故私は、『生きたくない』と呟いてしまったのだろうか。    「……真っ白い部屋」  私が居たのは、さっきの空間とは真逆の真っ白い部屋だった。  影はあるが、ホントに白以外の色が見当たらない。  ちゃんと家具もあった。  真っ白いベッド、真っ白い机に真っ白い本棚と本、  おまけに真っ白いカーペット。  まるでマンガの世界みたいだった。  「……明るすぎて気持ちが悪い」  こんな気持ち悪さは初めてだ。  白以外の色は無いのかと他の色を探してみる。   でも、見渡す限り白、白、白。  頭がどうにかなってしまいそうだ。
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