幕が上がる

2/3
前へ
/19ページ
次へ
 「ここに白以外の色はないよ」  後ろから声がした。  振り返ると、そこには一人の女の子が居た。  やっぱり白色で、唯一目と輪郭だけは黒く、  薄っぺらい昔のアニメのキャラクターのよう。  今までどこにも居なかったはずなのに、  一体どこから湧いてきたのだろうか。  「ワタシは二文字 瑠璃(フタモジ ルリ)。 あなたは?」  「……花……篝火 花」  「へぇ〜……可愛い名前だね!」  瑠璃はニコニコと笑っている。  屈託のない笑顔。  この部屋のように、汚れを知らない笑顔。    「……ココに来るのは初めてだよね?」  瑠璃は私を、まるで新しいおもちゃを見つけた  子供のような目でみている。  「う……うん」  「じゃあ折角だから他の場所にも行ってみるといいよ!」  「他の場所?」  「そう。 この世界ってすっごく広いんだよ〜。  きっと面白いものが見つかるよ」  「……どうやって行くの?」  この部屋には窓どころかドアすら無い。  それなのにどうやって移動するのか疑問だった。    「簡単だよ! ちょっと目瞑ってて」  言われるがままに目を瞑る。  次目を開けた時に、どんな世界が見えるのだろうか。  不安と好奇心が募る。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加