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目を覚ました私の目に、鈍い光が鋭く刺さる。
燃えるような赤い空。
夕暮れ時だろうか。
私はまだ生きていた。
あの時確かに私は首を斧で切り落とされたのだ。
(……どうしてまだ生きてるんだろう)
状況を確かめるため、体を起こしてみる。
「っ……」
動かそうとするたびに体がきしむ。
ツラい。 痛い。 しかし起きなければならない。
悲鳴を上げる体を半ば無理やり起こす。
予想はしていたが、そこはさっき私が居た世界ではなかった。
ボロボロの古びた建物が立ち並ぶ街のような空間。
家の窓は茶色く汚れてくすみ、所々割れてしまっている。
苔の生えたバス停や、切れて垂れ下がった電線。
まるで人の気配を感じない、不気味な場所だった。
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