蜘蛛の糸

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誰も知らないというのは父母も含まれていた。 「本当に大丈夫なの」 「母さんが心配するから連絡先くらいは置いていってくれても良いんじゃないか」 住み込みの働き口が決まったと言って、そのまま失踪してやろうと思っていた。捜索願いを出されるのは御免だったから、老夫婦を詐欺師のように騙した。 「教えたら、毎日のように電話してくるんでしょ。勘弁してよ」 表向きの嘘笑いもできるようになった頃だった。
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