符号

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全てから解放されて腑抜けてしまっていた。夜になっても明るい街を目指して彷徨っていたところをアイナさんに声をかけられた。 「こんな時間にこんな場所を歩いていたら警察に連れて行かれるわよ」 その時の僕は、このままどうなったって良いやと飲まず食わずで歩き続けていた。 「初対面の人に言うにはアレだけど、汚ったない格好してるわね」 そういうアイナさんは、眩しすぎるほど美しかった。 「ずっと歩いてたら靴底がすり減っちゃって」 「きっと今日泊まるとこも決めて無いんでしょ」 この人は信用しても良いと直感した。それまでの人生で優しく声をかけられるなんて無かったから、それが危険な人でも付いていったかもしれないけれど。
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