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夜の住人
「アキちゃん!次のイベントの時のショータイム、あなたも出なさいよ」
16歳のとてつもなく寒い冬。僕は18歳と偽り、バーレスクに紛れ込んでいた。
「僕がですか。踊れるんですかね」
まぁ、呆れたと言わんばかりの大袈裟なリアクションをとったオーナー。新宿の街を当てもなく彷徨っていたところを拾ってくれた命の恩人である。
清掃係としてお小遣いももらっている上に、事務所で寝泊まりさせてもらい、連絡用のスマートフォンも支給された。
「私が踊りなさいって言ったら、踊るのよ!もう、タダ飯喰らう気なの?」
このバーレスクには女性はもちろん、女性と見紛う男性がたくさん所属している。
そういうオーナー、アイナさんは自分はニューハーフだと言っていた。
単純にセクシーなダンスがしたいからと出勤してきている女の子がいたため、僕も建前ではダンスショーに憧れているけれど、親に反対されて家出をしてきた少年ということにしていた。
少数派のセクシャリティに特化したお店でないことが、居心地の良さを倍増させている。
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