夜の住人

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酔っ払っているその人の連れらしき人が、飲みすぎだよと落ち着かせているのが見える。僕に向かって片手を少し上げ、謝罪の意を示しているようであった。 二人が角を曲がって消えていくのを見届けると、この路地に立っているのは僕だけになった。 急に、不似合いな衣装に身を包んだ自分が気持ち悪く思えた。僕自身を全否定されたようだった。 「すみません。お待たせしました!」 僕が探さなければいけなかったはずの花屋さんが目の前に立っていた。 「あっ!こちらこそすみません」 いきなり我に返ったものだから、変な発音になってしまった。 「バーレスクアイナの方は遠くから見てもキラキラ可愛くてすぐに分かりましたよ!」 新人だという店員さんは会ってすぐの僕を褒めてくれた。 「可愛いのは衣装ですか、僕ですか」 あまりにも真面目に聞いたから、一瞬とても驚いた顔をされた。 「可愛い衣装が似合うのは、あなたが可愛いからですよ」 にこにこと返された言葉は営業トークなのか分からないが、傷ついた心を癒すには丁度いい効果があった。
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