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同級生
近所の小学校に入学した。
周りは保育所や幼稚園で見知った顔があるのが当然だったようだ。近所の子どもにも興味を示さなかった僕は、小学校に通わなければいけないのが嫌で嫌でたまらなかった。母が一緒にいる時間に飽きてしまったのかと疑っていたこともあり、仏頂面で自己紹介をすることになった。
「笹山彰人です。好きなことは刺繍です。好きな色は桃色です。最近はまっていることは着たことがない色の服を着てみることです」
同世代感というものが無く、違和感を与えてしまったことに、当時の僕は気づいていなかった。
その日から僕のあだ名は、ワタクシになった。私から由来しているんだろう。
それからというもの、父母が与えてくれた僕という一人称が、とても慎ましく、自分に合っているような気がして、使い続けている。
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