変貌する身体

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変貌する身体

初めから自分が女性であると思ってはいなかった。むしろ、今でも女性であるかどうか分からない。 そういうと、じゃあ男なのかと聞かれてしまうが、男性とは絶対に異なると思っている。 悲しいことに消去法で女性という性別を選択しているのだ。 僕の中では、僕は僕であり、それ以外の何物でもなかった。ただ、この目を通して、社会的な男性性、女性性というものがよく見えるようになってしまった。とりわけ同級生の一人一人が自らを男らしさ、女らしさにあざといまでも近づけているようであった。 第二次性徴期になって、一番嫌だったものは、声が変わってしまったことだ。 僕は人の声が好きだった。僕の声も高くて澄んでいて美しいと自画自賛していた。喉がガラガラして風邪を引いたのかと思っていたのに。 ある日突然、違う人の声になってしまった。
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