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「さて、真白さん。私に謎解きをしてほしいとのことだね。聞かせてもらえるかな」
「はい。実は一昨日ミステリー同好会の一条先輩からこの暗号を渡されたんですけど、私には全然意味が解らなくて……和歌なら万研部のまでこ先輩が詳しいと思って相談に来たんです」
「わかんないならその先輩に答えを聞けば良いじゃないっすか?」
「それは……」
アトソンくんの素朴な疑問に答えたのはまでこさんでした。
「それは出来ないのだよアトソン君。何故なら一条君はもうこの学び舎から去りゆくのだから。今週末には転校してしまうのだよ」
「ええっ!?」
“転校”という言葉を聞きましろさんの顔に暗く陰が落ち込みます。
「引っ越しは今週の土曜だそうです。まだ学校には来ているけど、部活へはもう来なくなって……。先輩にメールで答えを聞いてみても『君への宿題だ』といって教えてもらえなくて……もう、会うことも出来ないのに……」
最後の言葉はか細く呟かれた、ましろさんの本心でした。
ふっくらとした唇をキュッと結び、少し湿りの増したまなじりをきつくあげ決意を込めてまでこさんを見つめます。
「一条先輩が私に最後に残した謎解き……絶対に解きたいんです! 先輩が遠くへ行ってしまう前に!」
そんなましろさんの様子にまでこさんが柔らかく微笑みます。そしてこちらも言葉に力を込めては、出来る限りの助力をしようと返すのでした。
まずは問題の暗号です。
ましろさんは鞄から白い封筒を取り出しました。表書きはなく糊付けもされていない、なんの特徴もない無地の封筒です。
そこから更に2枚の紙を取り出しました。少し厚めのカード状をしています。こちらも色は白で、それぞれこんなことが書いてありました。
〔一枚目〕
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たごのうらに うちいでてみれば しろたえの
ふじのたかねに ゆきはふりつつ
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〔二枚目〕
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白妙様
にまで待ちつづつつ
一条
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