* Sweet. 2 *

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……────。 「お先でしたー」 一階にいる茅野の両親に会釈をしてから、子ども部屋へ向かう。 初夏はさっとシャワーだけを浴びることが多く、長風呂はあまりしない。 檜の舟形に、ネットに入れられた柚子の皮が浮いていて新鮮だったし、香りも楽しめた。 旅館のようなおもてなしを受けて、夕里は茅野がいる前で「茅野家の子どもになりたいなぁ」なんて冗談っぽく言った。 「お嫁にきてくれるの?」 「ば……ばかっ。そういうつもりで言ったんじゃないしっ。というか! 嫁じゃなくて婿入りだろ」 今の関係を打ち明けるのか。 折り合わなくて、さらにネガティブな方向へ下降していたから、茅野はわざとふざけた返事をする。 分かりやすくご機嫌を取られるよりも、気が楽だった。 超然としていて嫌みっぽくないところが、茅野の好きなところの一つだったりする。 「へぇ。お婿さんになってくれるんだ。楽しみ」 「言葉の綾だってば。もー、揚げ足ばっか取るなって」 「なーんか本気にしちゃった」 ──まあ……そうなればいいんだけどさぁ。 夕里一人が願ったって、双方の親はどんな顔をするのか検討もつかない。 まだ濡れた毛先を拭きながら、茅野の隣へ座った。
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