* Sweet.1 *

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呼び止める声に少しの罪悪感を覚えながらも、寺沢を無理矢理連れて足早に校舎の外へ出る。 高校2年のクリスマスの日。茅野に泣きついて告白し、晴れて恋人同士になった。 顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら何回も「好き」と言った記憶は、正直に言ってすぐにでも消し去ってしまいたい。 ──最初はあいつのほうから好き好き言ってきたのに。……俺に飽きたとか? 初対面からやたらと「かーわい」とかからかってきたくせに、半年経った今では普通の友人の距離感。 内心でうだうだ文句は連ねるのに、いざ茅野に踏み込まれると、機嫌を損ねて追い出してしまう。 考え出すと、茅野との会話が頭の中にもくもくと広がって、わああぁ、と叫びたくなる。 ──あっちのほうが悪いんだし……俺もあんまり好きって言わないけど、それにしてもモテるの見せつけるのは。 苛々しているときは、特に甘いものが食べたくなる。 行きつけのスイーツ店で、夕里はキャラメルフラペチーノを、寺沢はカフェモカを頼んで空いている席に着いた。 「ゆうちゃん。俺を巻き込まないでよ」 「お前も茅野と同じくイケメンなんだから同罪だ」 「同罪なら何で連れてきたの……」 「……だって、お前しか相談出来る友達いないもん」
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