* Sweet. 2 *

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くし型にカットされた桃を一口だけ味わい、夕里は「ごちそうさまです」と手を合わせた。 「あら。夕里君もう終わり?」 「はい。お腹いっぱいです……」 「ふふ。夕里君少食なのねぇ。あ、そろそろお風呂に入る?」 直美の提案に頷き、二階から着替えを取ってこようと立ち上がったときだった。 「舜も一緒に入ってきたら?」 「はっ?」 「えっ?」 何気ない一言、でも夕里にとってはとんでもない台詞に聞こえて、声を上げてしまった。 向かいにいる茅野も一緒だ。 自分達は恋人同士……それを伏せれば、ただのクラスメートで男同士で友人で。 「そんなに驚くこと? うちのお風呂広めだから男子二人でも大丈夫よ」 「夕里、ゆっくり浸かりたいだろ。俺は後からでもいいから先に入ってきな」 自然な感じで茅野が気遣ってくれ、夕里は「ありがと」とだけ返す。 足早に二階から一階の風呂場へ駆けて、引き戸を閉めた途端に情けなくもその場へへたり込んでしまった。 ──やばい。いろいろと……想像してしまった。 もしかしたら、なんてある訳ない。今日は健全なお泊まり会なんだし。 不健全な方向へ気持ちがぶれそうになるのを何とか抑えながら、夕里は隠しきれない想いに溜め息をついた。
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