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神頼み
「神様、どうか私に恋人が出来ますように!」
私、白峰百合子は今年で17歳になる高校二年生。
私は今悩みを抱えている。周りの女の子たちはどんどん彼氏を作って幸せそうにしているのに私には全然彼氏が出来ないのだ。私の顔は悪くはないと思う。だって周りの女の子たちにはお姉さまって呼ばれて慕われている。成績だって悪くない。なのに何故かモテない。
なので近所で噂の縁結びの神社にやって来た。
「……って祈ってもすぐには無理か」
「その願い叶えよう!」
「えっ!?」
気がつくと目の前に美少女が立っていた。
「うむ、やはり実際に見てもいい女子じゃな」
「えっ!? えっ!?」
夢見てるのかな?
金髪赤目の狐耳をつけた少女が浮いてる……
「夢ではないぞ。ほれっ」
「へっ? いひゃい、いひゃい」
なんかいきなりほっぺたつねられた……
「お主が信じてくれぬからじゃ」
「夢ではないのは分かったけど、その耳どうやってつけたの?」
「むっ? おお、そうじゃったな。この耳は今の時代には珍しいかの」
うわぁ、なんか変な子だ。
「変な子とはなんじゃ」
「へっ? 私、声に出してた?」
「なに、心を読んだだけよ」
「心を読むなんてそんな物語じゃないんだから……」
「妾は神じゃからな」
「神って、大丈夫? ここ、神社だから罰が当たるよ」
「むぅ、まだ信じておらぬようじゃな……」
うーん、早く帰りたいなぁ。
「まだ帰すわけにはいかぬよ。そうじゃ、あれをすれば信じるじゃろう」
うわぁ、なんか悪い顔してる。
「それっ!」
「ひゃあ!」
身体が浮いてる!? あぁ、どんどん空高く……
「どうじゃ、これで信じたじゃろう?」
「わっ、分かったから下ろして」
「こここ、怯える姿も愛いのぅ」
あぁ、戻ってこれた。
「さて、それじゃあ自己紹介じゃ。お主の名前は白峰百合子じゃな?」
「えっ!? なんで知ってるの?」
「お主の心を読んだのよ。さっき、お祈りしているときに律儀に心で自己紹介しておったからのぅ」
「そっ、そうです。白峰百合子です」
「うむ、それで妾の名前は玉藻じゃ」
「玉藻!? それって悪い妖怪の!?」
「こここ、昔は少し悪さしおったのぅ。まぁ、今では善行を積んで一応神になっておる」
「えぇ、そうなんだ……でも、そんな神様が私に何の用ですか?」
「玉藻ちゃんでよいぞ。それとお主のことは百合子と呼ぶぞ」
「……えっと、玉藻ちゃんは私に何の用なの?」
「それは百合子の夢を叶えるためじゃ」
「夢って!」
はっ、恥ずかしい……恋人が欲しいなんて聞かれてたなんて。
「こここ、恥ずかしがるではない」
「玉藻ちゃんが私の恋人作りを手伝ってくれるんですか?」
「ん? 違うぞ」
「えっ? でも私の夢を叶えるって……」
「うむ、妾が百合子の恋人になるのじゃ」
「えっ? ……えぇーーーー!」
玉藻ちゃんが恋人!? でも玉藻ちゃんって女の子じゃ?
「うむ、妾はちゃんと女じゃぞ」
「じゃあ、女の子同士だし無理じゃない?」
「む? 別に女同士でのカップルなど最近は普通じゃないかのぅ?」
「そう、なのかな? 確かにニュースで同性婚は可能になったって言ってたけど……」
私、子供も欲しいし……
「こここ、子供なら可能じゃぞ」
「あっ、また心を読んだ……」
「妾は神じゃぞ。女同士で子供を作るなど簡単じゃ」
「うーん、神様だもんね。でも、いきなり恋人だなんて……」
まだ玉藻ちゃんのことはよく分からないし。
「それなら、妾と友達から始めてほしいのじゃ」
「それならいいかな? でも玉藻ちゃんは私でいいの?」
「百合子がいいのじゃ。まあ、いわゆる一目惚れじゃな。百合子を一目見てビビッときたのじゃ」
「なんか、照れるなぁ」
「それじゃあ、これからよろしくじゃ」
「うん、よろしく。玉藻ちゃん」
「こここ、ん? もう暗くなってきたのぅ。今日は帰るかのぅ」
「そうだね。また来るね」
「うん? 何を言っておるのじゃ? 妾も百合子の家に行くに決まっておるではないか」
「へっ!?」
いきなりすぎない?
「妾にここで1人で過ごせと言うのかのぅ?」
「えっ!? それは……」
うーん、可哀想だけど。私、一人暮らしだしいいかな?
「分かったよ。うちに来ていいよ」
「ありがとうなのじゃ、百合子」
その日、私に変な友達(恋人候補?)が出来た。
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