戯れる。

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「えっ、しゅな 返事もらえなかったの?」 次の日。 あたしが朝からバリバリ 数学の問題集とにらめっこ しているところに愛が やってきて、驚嘆の声を あげた。 「うん、 お返事っていうか 軽く諭された。」 あたしがペン回しを しながら言うと、 愛は目をパチクリさせて 「諭す?はい?」 ってますます訳が 分かりませんって顔だ。 そして、あたしが やってる数学の問題集を チラリ。 「それで何でしゅなは 朝から数学してるわけ?」 「これで先生を落とす。」 「え、どゆこと?笑」 うまく会話が噛み合わなくて 愛はもはや苦笑いする。 あたしはけっこう大真面目 なんだけどな。 あれから、 色々考えてみた。 自分に都合よく 考えてる訳じゃない、 冷静に考えて、先生は、 あたしのこと、嫌っては ないと思うの。 だって、嫌ってたら おでこにチューとか、 ハグとができないでしょ。  全部あたしが挑発したり、 頼み込んでやらせたもの ではあるけど。 だから、 望みはあると思うの。 もうここは、 とにかく勉強頑張って、 『今までただの生徒 だと思ってたけど、 ふとした瞬間に見せる 女の部分にドキッと して、気付いたら 好きになってました』 な、展開狙うしかない。 色仕掛けもいるね、これ。 「何がなんでも 好きって言わせてやる。」  「しゅな、なんか すごいよ・・・・・・ イキイキして 素敵よ・・・・・笑」 愛が、 「よく分かんなくて ついてけない」 って顔で言ってきたけど、 気にしません。 好きなものは好き。 あたしは、自分の意思で 動くんだから。 ふと、視界の隅に 青井くんが目に入った。 友達と話してるけど、 元気がないのは 相変わらず。 近くの女子が青井くんを 見て、ヒソヒソと囁いてる。 「青井くん、ここのとこ 元気ないよね―・・・」 「て言うか痩せたよね。」 「覇気もないし、 やつれた?」 「別れてから、 だよねー・・・・・、 しゅなと。」 こっちを、 ちらりと見る女の子たち。 知ってる、分かってる。 でも、 あたしも逆戻りする気は ないのよ。 あたしはまた数学の 問題集に目を落とした。
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