戯れる。

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*********** 「・・・・・ん、 英語の小テスト プリント、91点だ。」 もちろん、 勉強の方だってちゃんと してますとも。 先生はさっき丸を つけていたプリントを あたしに返すと、 満足そうに微笑んだ。 「9割越えか。 よく頑張ったな。」 「はい、 愛のチカラです。」 「こっちが恥ずかしく なるから黙ってろ。」 相変わらず、こういう 時はそっけない先生。 こうやって先生を 困らせるのも楽しい。 あたしは先生から 返されたプリントを 見つめて、 ひとつ、妙案を 思い付いた。 「先生、先生。」 あたしの呼び掛けに 首をかしげてこちらを 見る先生。 あたしは、ずいっと 身を乗り出した。 「あの、 来週、数学の 単元まとめテストが あるんです。 それで8割取れたら ご褒美ください。」 「ご褒美・・・・」 先生は眉を潜めて こちらをチラリ。 あたしは、 目を反らさずに 先生をじっと見る。  先生はしばらく 黙ってたけど、 ほどなくして ため息をついた。 「却下。 ご褒美にかこつけて よからぬことを 考えているんだろう。」 「やんっ、先生、 良からぬことって何 想像してるんですか?」 ギロリと、 わりと本気な感じで 先生に睨まれた。 ちょっと からかいすぎたかな? あたしは姿勢を正して、 肩をすくめた。 「冗談です。 でも、先生が 誉めてくれるなら、 あたしもっと 頑張れると思うんです。」 今までだって原動力は 先生だったし。 あたしが真面目に 先生のことを 見つめていると、 先生は観念したように、 ふっと、肩の力を抜いた。 「・・・9割だ。」 「え?」 「9割取れたら、 あんたの望み通りに してやる。」 その笑みは、ひどく 魅惑的で、余裕そう。 ・・・・・もしかして。 「先生、 9割は無理だろうって、 タカくくってますね?」
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