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日暮れ、それは
日が落ちて来ると、世界は裏の顔を見せ始めました。ライトアップされた池のほとりの元貴族の古い館が水面にリフレクトして、針のような蝋燭をドレスの裾に並べ立てたような別の顔を向けて居りました。
温 美星(オン・ミホシ)は、池の手前から目的地を眺め遣りながら、ルージュをぎゅいっと引き直しました。そして、首に巻いたファーを確かめると、ピンヒールをコツコツと路面に響かせて、館の方に足早に立ち去って行ったのでした。
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