日暮れ、それは

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

日暮れ、それは

日が落ちて来ると、世界は裏の顔を見せ始めました。ライトアップされた池のほとりの元貴族の古い(やかた)が水面にリフレクトして、針のような蝋燭(ロウソク)をドレスの(すそ)に並べ立てたような別の顔を向けて居りました。 温 美星(オン・ミホシ)は、池の手前から目的地を眺め()りながら、ルージュをぎゅいっと引き直しました。そして、首に巻いたファーを確かめると、ピンヒールをコツコツと路面に響かせて、館の方に足早に立ち去って行ったのでした。 f721b327-62d9-47bb-bb55-1ab221506528
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!