白川 直央

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 『――この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、私は外側の人間。でもそんなのはどうでもいいの。私は、私が嫌い』  映画は、およそジブリのヒロインらしくない、自己嫌悪たっぷりのモノローグから始まった。主人公の女の子、杏奈(あんな)は、思春期を迎えた中学生で、養女として育てられたという経緯を、自分の中で深く受け止めてしまい、家族とも、学校のクラスメイトとも、距離を取っている。  杏奈は喘息を患っていた。夏休みの間、北海道で療養したらどうかという義母の提案を受け入れ、親戚が住む北海道の田舎町で暮らすことになる。  そんな北海道の田舎町で、杏奈は、マーニーという、ブロンドヘアの美しい少女と出会う。内に閉じこもりがちな杏奈だったが、何故かマーニーの前では心を素直に開けた。北海道にやってきた理由、自分の複雑な家庭環境なんかも、マーニーには話せてしまう。マーニーはどこか不思議な女の子だ。明るくて温かくて、芯がある。けれど、どこか時折――少し、寂しげに見える。
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