白川 直央

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 夜に飛び交う蛍のような、静かで美しい劇中歌が流れ、北海道の静謐で神秘的な景色と共に、杏奈とマーニーの間で繰り広げられる、物語。孤独を分かち合い、お互いを認め合い、愛し合っていく。  ――涙が、溢れ返ってくる。止まらない。何だこれは。何なんだ。ジブリって、こんな静かに、心を揺さぶってくる――見えない何かを、訴えてくるような物語だっただろうか。  エンドロールが終わり、館内が明るくなる。俺はまだ涙が止まらなかった。これは、なかなか、恥ずかしい。普段、感動して泣くことなんて、滅多に、ないのに。っていうか、タオル、どこ行った? 映画を見る前、ポケットに忍ばせておいたはずなのに。
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