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「きみとは、この宇宙にただ一度だけの、唯一無二の存在である。それが、自ら命を絶って、この世から消えてしまうのか? きみという二度と生まれてはこない存在が、そんな燃やせば灰になってしまう紙切れ一枚になってしまってもいいのか?」
そう宇宙スケールで言われると……。
「なんだよ!? 僕が悪いわけじゃないのに! なんで自分から死ぬほど痛い思いとか怖い思いをして死ななくちゃいけないんだろう? なんだか……なんで、どうして、こんなことやっているんだ、僕は。ああ、すごく腹が立ってきたぞ!」
僕は書きかけの遺書を丸めて潰してゴミ箱に捨ててやった。
そんな僕の姿を見て、当然、してやったりという顔をする守護天使に――僕はカチンと頭にきた。いいだろう。こっちも言いたいことを言わせてもらう。
「よし。今度はこっちが聞く番だ。おい、教えろ。教えるだけでいい。教えないと飛び降りるぞ」
凄みを利かせる僕に守護天使はぎょっとした。
「な、なな何をです?」
「自ら命を絶つなんて、そんなバカバカしい考えはやめる。じゃあ僕はこれからどう生きていけばいいんだい?」
「いじめはノーと言う。簡単です」
「やめてくれるものか。隠れたところでもっと陰湿ないじめに遭う」
「守ってくれる人たちはいるのだよ」
「言うだけで何もしてくれない守護天使がそう言うか。じゃあ、その人たちが24時間ずっと僕のそばにいて、彼らの嫌がらせから僕を守ってくれるのかい?」
「めんどくさい人だなあ。そういうタイプってのはよくわかってはいるけど」
「よし。わかったよ。いじめはやめろと、あいつらに言えばいいんだな!」
僕は部屋から飛び出した。あいつらの放課後のたまり場になっているところは駅裏のゲーセンだ。僕はそこに向かう。
後ろから追いかけてくる守護天使が言った。
「やっと前向きになってくれました。ああ、私はもっと早く姿を見せればよかったね。――って、急に回れ右をして、家に戻るつもりか!?」
「いやあ。急に怖くなってきて。だってさ、あいつらに逆らうような真似をしたら、ホントに今以上にしつこく嫌がらせされそうだし。そうなると親にも心配かけてちゃって迷惑かかるじゃん」
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