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あるところに、すぐに願い事が叶うと評判の神社がありました。その神社で、次のようにお願いした人間がいたそうです。
「私の人生に起伏なんていりません。穏やかに静かに暮らしていきたいんです。感情が乱されることなく、特に目立った出来事もなく、ひっそりと生きていきたい。神様どうかよろしくお願いします。私の願いを叶えてください」
その人は願い事を終えると、来た道を戻りました。鳥居をくぐってすぐ、長い石段があります。その人は一段目を踏み外し、真っ逆さまに落ちていきました。
その人いわく、階段の存在がすっぽり頭から抜けており、空を踏み抜いてしまったそうです。
来る時に登ってきた階段なのに、忘れてしまうなんてことがあるでしょうか。
頭から転げ落ち、石段に体をしたたか打ち付けました。救急隊が駆けつけたときには、もう死んでいたそうです。
神様は「命を奪う」という形で願いを叶えてくださったのだと思います。
生きていれば起伏はつきものですが、死んでしまえば何も起こりませんからねえ。
え? 私がその人について詳しいのはなぜかって? それは……。
どうしてだと思います?
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